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風の小径 詩片

13年待った。- 魚座満月│詩片

 

「あなたは素敵よ。もう少し、無茶をしなければ良いのだけれど」

2023年8月31日、魚座満月。

https://twitter.com/IRISCALAinfo/status/1697651466113253856?s=20

13年ぶりの青い月夜だった。

 

13年前に出会ったおまえは、

今どんな顔をしているのか全く分からない。

 

おまえは本来の姿を隠し、
私を欺き、
私を利用し続けてきた。

おまえが私に見せてくれたものは、
私を殺して、私を踏みつけ、私を辱め、
私から全て剥ぎ取ったもので築き上げた、虚構の世界だった。

私はお前をひとつずつ解体し、

ひとつずつ解体し

ひとつずつ剥ぎ取り

一つずつ削り取っては消し

そうしてお前はようやく、本来の姿を隠しおおせなくなった。

 

お前が築いた虚構は多くの者を巻き込み

巻き込み

巻き込み

巻き込み

一つの大きなムーブを作った

つかの間の仮初めの偽りの出鱈目な

お前が築く世界は

理屈など無く

理屈など通じぬ

当たり前が二転三転し

気が狂い眩暈がして倒れるまで

何度でも繰り返される狂宴だった

 

お前と私は相容れぬもの。
お前はただの命乞い。
おまえは私の前に仁王立ち、
腕を組んで私に命を乞うたのだ。

生かしてくれなどと、頼まれたことは、私は一度もない。

 

狂乱の迷路を抜けた先には、
私が立ち入れなかった世界がある。

そこは私が踏み込んでも良い世界だったのに、
お前は私に、そこに立ち入ることを禁じた。

なんの権限があって?

お前にそんな権限は、最初から無いのだ。

私が持っているものを、おまえが踏みにじって奪い、おまえのものだと嘯いて見せびらかし、無断で使っていたおまえが、

私に指図する権利など、ただの一つも最初から無いのだ。

 

吊るし人は嗤う。ここは良い世界だと。

 

私は足元に絡まりつく生ぬるい足枷をようやく外した。

ぬめり蠢く足枷を踏み砕いて外した。

 

ここは私が自由に生きる世界だ。
責任が伴っても、
それは私が自由に生きる世界だ。

私はこの世界の後始末をしなければならぬ。

 

この均衡を崩しているのは、おまえの存在だ。

アンバランスな、全てを持ち得ない、偏った歪な存在であるおまえが、

私の足枷でしかないおまえが、

全てを持ち得る可能性を持つ者の世界で、

ただひとり、浮いていた、歪な存在。

お前は還りたかったのだ。

おまえが消えた時は、何の感情も湧かなかった。

本当に何も湧かなかった。

ただ、私がおまえから受けた傷を癒さなきゃ、傷を癒さなきゃ辛い、と思うだけだった。

辛い経験も学びになるとか言うけれど、

おまえから与えられた経験からは、なんの学びも得られなかった。

何も得られるものがなかった。

ただただ、傷ついただけだった。

辛い傷の経験だけが残った。

私はそう感じている。

「動かないと何も変わらんよ」とずっと言われてきた。


私に何ができる?
私はただここにいて、私ができることを続けるのみ。

他に出来ることなどないと思って、今もずっとそうしている。

「動け」というのは、現実の事ではないのか。

だったら、私にできることは、もう少しある。

 

私はずっと真ん中に居て
私が本当に動ける日が来るのを
ずっと待っている

途方もない長い日になるかもしれない
耐えられない
私は待つのが嫌いでね

13年待った。

私が本当に待っているのは、本当は誰なのか、時々解らなくなりながら。

そちらに関しては、まだ少し、涙が出る。

 

今はただ、壊れた宝玉の割れ目からにじみ出る、
黒くただれたヘドロの毒を、

出し切って
出しきって
出しきって

傷を塞ぐだけ。

もう、最初からなかったことにして、この傷を忘れるの。

そう

おまえなど、最初から、存在しなかったのだ。

次回、乙女座新月。
稔りの時はやがて来る。

 

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