『おとうさま、わたし、あの星に行きたい。あの人の所へ行きたい』
ああ
知られないように 触れられないようにと ずっと隠しておいたのに
何故あなたは
どうしてあなたは あの星を見つけてしまったのか
『だって、泣いているの。助けてくれって』
*
助けられたのは、一番大事な人だけ。
あとは、
インナーチャイルドが、何か抱えて持っている。
それは大事なものなの?
それは大事だと勘違いしているものなの?
それとも、「可哀想な私」なの?
それは幼女の小さな両手の中で、白く光って見えていた。
「手放しなさい」
と、ハイヤーセルフが言う。母のような美しい姿で、優しく。
でも、インナーチャイルドは不安そうにそれを握りしめて、離そうとしない。
「私がもっといいものをあげる」
と、ハイヤーセルフがインナーチャイルドに言う。
「あなたが大好きなもの」
と、ハイヤーセルフは、緑の綺麗な石を幼女に差し出した。
インナーチャイルドはそれを見て瞳を輝かせた。そしてハイヤーセルフが差し出す綺麗な石に手を伸ばした時、それまで握っていた石をコロンと落とした。
白く綺麗に光っていたと思っていたそれは、薄黒く汚れていて、
落として初めて気がついた。それは宝物でも何でもないと。
落とした石の代わりに、ハイヤーセルフからもらった石は、キラキラと、インナーチャイルドの胸に輝く。
インナーチャイルドは、綺麗に透き通るその石に魅入り、嬉しそうに微笑んでいた。
ハイヤーセルフは幼女を抱えて立ち、幼い顔が喜ぶのを見て微笑んだ。
汚れた石は、砕いて天に還そう。
汚れた石は、幼い身体からすべて離れて、粉々になって天に昇った。
ああ。
汚れて傷ついて泥だらけになって、
泥の中で何かにしがみついて、
そうして見つけた、宝物のようなものは、
偽りの契約と、イミテーションジュエル。
それが無いと生きていけなかった自分は、もういない。
もういない。
もういない。
『きちゃない、きちゃない、もういらない』
と、インナーチャイルドは持っていた汚物を捨てた。
『いやっ、いやっ、もういやっ、いらない! いらない!』
さようなら、泥だらけのわたし。
さようなら。
さようなら。
私はもっと、自分を大切にします。
助けられたのは、一番大事な人だけ。
あとは、もう、
いらない。
*
『おとうさま、ただいま』
にほんブログ村 |
にほんブログ村 |
にほんブログ村 |